調査事例【DV相談調査】愛知県
【事例】雪の積った屋根に母子が・・・町内の男性からの相談
相談内容
名古屋市は前日から雪が降り、町中が真っ白で今日も時々吹雪いている。こんな日は、久しぶりに定時前に事務所を上がって書類の整理をしようと思っていたら、数十年来の男の友人からの電話、話の内容を聞いても要点を得ない、しかし相手はどうしても早急に相談に乗って欲しいと言う。こんな雪の日に急ぎの相談なんて、何だか分からないが、とにかく北村調査事務所まで行くので相談に乗って欲しいと言う、知らない人でもないし話ぐらいは聞いてみよう。
車は雪の為に使えないので地下鉄で、北村調査まで来ると言っていたが来社されてびっくり、電話をかけて来たのは知り合いの男性だが、一緒について来た女性は前歯が二本完全に無く顔中傷だらけ。聞取りの結果は下記の通り。
- 連れて来た女性は、男性の住む町内の人妻で二才になる女の子供がいるが、今日は町内で子供を見てくれる人がいたので預けて相談に来た。
- 自分は女性と男女の関係どころか、今まで話すらまともにしたことがない、だから不倫でも浮気でもない、そこの所は勘違いしないで欲しい。
- 今日、北村調査事務所へ相談しに来たのは、朝起きてカーテンを開けて、町中が真っ白で綺麗だなと思いながら数軒先の家の屋根を見たら、雪の積もった屋根の上に女性と娘さんが居たのでびっくりして、その家まで行き話を聞いた。
- 話を聞いて更にびっくり、昨夜の21時位から夫の暴力から逃げるために裏庭からハシゴを掛けて、屋根の上に子供を抱いて逃げて、夫が追って来られないようにハシゴを屋根の上まで持ち上げて今朝の夫の出勤時まで雪が降っているのに、子供を抱いてじっとしていたそうだ。
- 夫が出勤したのを確認したが、遠くから降りて来るのを見られたら怖いので、降りるのを躊躇している所を町内の男性に見つかって、事の一部始終を話したところ、男性がこのままの状態を放置して置けば、何時かは必ず死人が出る程の事態になると思い北村調査事務所に相談の電話をしてきた。
- 女性は結婚四年目で夫の暴力は結婚後すぐに始まった。
- 女性は二十代でまだ若若しく見える、当然だが女性に不倫や不貞行為の事実は無い。
- 女性は子供が居るので自分の都合で離婚して、子供を片親にするのは不憫だと思っている。
- 男性は、たまたまでは有るが衝撃的な現場を見て男気を出して北村調査事務所に連れて来て、女性と子供にとって最善の方策を教えて貰い実行しようと考えている。
- この時点で親子は病院に行って診断書を取る事もしていなかった。なぜ病院に行かなかったのかと聞いた所、恐怖が先に立ち診断書どころか病院も頭に浮かばなかったそうだ。
- 女性は専業主婦で手に職も無く夫と別れたら、すぐに生活に困る状況。
- 生活の担保が出来る状態で離婚が出来るならば、離婚したい。
- 夫の過去の暴力で前歯上二本無し、あばら骨一本骨折、顔面パンチによる傷多数。
提案内容
まずは、医療機関に行き現在と過去の夫からの傷害で受けた事実について受診して診断書を出して貰う。その後、夫の留守中に自宅の中に隠しカメラを設置して、DVの動かぬ証拠を撮影。並行して離婚に強い弁護士を紹介して、慰謝料・養育費・当面の生活補償金等を取れるように交渉し公正証書にする。交渉に応じない場合は、傷害で告訴する準備が有る事を弁護士を通して伝える。上記の提案に応じて頂いたので、さっそく隠しカメラの準備にかかる。
調査開始
調査と言っても家の中で行われている事を、機材が記録しているだけだったが、後日に再生して映像を見たら、覚悟を決めている女性は凄いと感じた。ひたすら殴られ、罵倒されてもカメラを意識することなく毎日DVを受け続けていた。一週間分の記録を取り終わり調査終了。
調査報告
弁護士さんに離婚協議に入って貰い、傷害での告訴は行わないかわりに傷害の慰謝料と精神的慰謝料を受取る事に成功した。夫には全ての慰謝料の支払い余力が無かったので、夫の実家が夫に貸し付けて支払った。養育費と当面の生活保障は夫の年収から考えると限界近くまでの金額交渉に成功したと思われる。離婚後によく有る事だが、養育費や慰謝料が滞ることがあるので、今回の公正証書作成には夫の支払いに対し遅滞が有った場合の万全の方法をとった。
調査結果その後
個人情報の兼ね合いで書けないがとにかく他のDV被害者よりは、はるかに良い条件で離婚出来た。夫も養育費を支払い続けている。年に一度ペースで北村調査事務所に妻が挨拶に来てくださるのだが、まだ前歯は二本とも抜けたままだ。「歯は入れないの?」と聞いたら、そんなお金が有ったら子供に使うとの返事、母は偉大だ。