財産分与に伴う案分割合の算出が難しくなる訳
実務例
分与する財産が原則、婚姻後に夫婦が伴に苦労して作り上げた物であることには間違いはありません。しかし婚姻前に自分の収入でした蓄財や婚姻の前後を問わずに親等からの相続・贈与により成しえた財産は、基本的に個人特有財産として分与の対象からは外されることとなります、ここまではっきりしているならば、なぜに紛争になるのか・・・・・
それは、一例で紹介するならば、夫が相続により取得したアパート一棟が有ったとしましょう。前述のとおりならば、夫の個人特有財産として、財産分与からは外さなくてはなりません。しかし相続してすぐに離婚分割ならばそうでしょうが、実生活を続けていれば固定資産税の支払い、アパートの維持管理費用等々、夫が相続したアパートを維持するために妻の協力が皆無とは言いがたいものがあります。
それでもまだ、アパート経営に関する案分はまだまだ簡単な部類です。なぜならばもし、相続が会社や商店であったならば、その事業の継続に伴侶及び子供等の協力が皆無ということは、非常に少ない確率だと容易に推測できます。
そのような状態の時には、前述の相続で得たアパート経営と違い複雑な分与計算が必要となってくることは明白です。そして、現在保有している財産以外に将来入金予定である、年金や退職金等もどこの時点から何処までの期間を分与対象財産にするかは、難しい作業です。
このように分与すべき財産の不透明さが離婚紛争の一つの要因と考えられます。
そもそも夫婦の財産は、一定の期間の共同生活の中で作られ維持継続して為し得た物であり、その財産構成は時事変化していくためにこれに関して離婚時の紛争を防ぐには、大変難しい事柄が多く、何年も係争をするよりは、互いに早期決着に向けて自分の権利を妥協する(紛争に時間がかかれば、結果的にお金もかかるため)ことを考慮に入れないことには、短い人生の間に係争に何年も費やすという非生産的な作業の泥沼から脱出できません。