人事訴訟手続の活用方
人事訴訟法は、平成15年7月に前面改正されましたが、それまでは民事訴訟法の特例として定められた法律です。人事訴訟法は民事事件のうち、離婚、婚姻の無効・取消し、嫡出子否認、認知、養子縁組、離縁などの身分関係の形成や存在の確定を目的とする訴訟について定められた法律です。
法の改正前、従前は地方裁判所で審理されていた離婚事件が家庭裁判所に変わり更には、通常訴訟のように証拠調べ手続きに限らず、家庭裁判所調査官による事実調査に基づく判断もなされるようになり、身分関係上の複雑な感情問題等の背景、事実等についても比較的正確に認識してもらいやすくなっています。
その上、管轄についても当事者の住所地での提訴が可能になり、調停では相手方住所地での申立に限られていることから、遠方の場合はどうしても申立側に負担となっていた部分がありましたが、訴訟に移行すればその負担が軽減される等といったことにもなります。
既に離婚が成立してしまっている場合には、この法律での訴訟提起は不可能ですが、離婚について争いがあり、またその他関連部分についても紛争が多岐に渡る等のため、調停では時間ばかりが掛かってまとまりにくいような事案については、無理に調停手続にこだわることなく、早期に訴訟手続に移行させることも考慮すべきかと思われます。